育児記録

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はじめての仕事

ニューボーンフォトというものがあるらしい。いまは専用のサービスも多く、それなりに当たり前の行事のようだ。わが家では、妻が自宅でそれらしきことを始めた。小さな体を布で巻く。いわゆる「巻き巻き」だ。なかなか思う形にならない。本人は迷惑そうな顔を...
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無痛のはずだった朝

あの日、私は「予定」という言葉の無力さを知った。明け方、隣でモゾモゾと動く気配に目が覚める。妻の様子が、明らかにおかしい。「……陣痛かも」その一言で、脳は一気に覚醒した。――はずなのに、体は布団の中で一瞬固まっていた。あさって、計画無痛分娩...
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「1日だけ」の重み

出産を控え、わが家も一時保育を利用することにした。――と書くと、「へぇ、便利な制度だね」で終わりそうだが、ところがどっこい、である。正直に言おう。「1日だけヨロシクね!」で済むと思っていた。甘かった。まずは登録。書類、書類、また書類。父の出...
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わが家の神家電③

わが家の冷蔵庫は、やたらと冷凍室が広い。購入するとき、私は容量より先にそこを見た。野菜室でもなく、デザインでもなく、冷凍室。ここが広ければ、だいたい安心できる。根拠はないが、経験はある。賞味期限が近づけば、とりあえず凍らせる。食パン、肉、作...
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わが家の神家電②

全自動洗濯機が、黙って受け止めてくれる母だとしたら、食洗機は頼りになる兄貴である。無口だが、やることはやる。「置いとけ。やっとく。」そんな声が聞こえる気がする。油? 問題ない。食べ残し? まあ任せとけ。細かいの? まとめて来い。アニキ、と呼...
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目の前という基準

おもちゃとは何だろう、とときどき思う。かっこいいミニカーや恐竜のフィギュア。確かに息子は目を輝かせる。だが、それ以上に夢中になるのは、こちらが用意していないものだ。しかもだいたいは、そのへんにある、捨てても困らないようなものだったりする。配...
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親バカの誤算と、空になった皿

離乳食を始めたばかりの頃、息子は何を出しても黙って食べていた。「好き嫌いがない子だな」「これは将来有望だ」私はずいぶん大きなことを言っていた気がする。今なら分かる。あれは寛大だったのではない。まだ反撃の術を知らなかっただけだ。最近は違う。気...
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小さな指揮官と、魔法の「ピッピ」

一歳の息子は、それを「ピッピ」と呼ぶ。テレビのリモコンのことだ。彼にとってピッピは、退屈な日常を一瞬で塗り替える道具らしい。手に取ったが最後、迷いなく赤い「YouTube」のボタンを狙い撃つ。ただし、そこから先はまだ一人では完結できない。画...
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バリカン一本の、父と子の時間

わが家では、息子の散髪は私の役目だ。道具はバリカン一本。場所はお風呂場。新聞紙を敷き、排水口にはネットをかける。分かってはいるが、子どもの髪を自宅で切るのは、なかなか骨が折れる作業だ。「じっとしてて」と言った直後に、体をくねらせる。首元に落...
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家庭はダイエットに向いていない

健康診断の結果を突きつけられ、ついにダイエットとやらを決意した。思えば昔は、テレビで「バナナがいい」と言えば翌朝にはスーパーの棚が空になり、「〇〇がいい」と聞けば、皆が一斉に飛びついた。そんな、どこか長閑なブームに、世間が振り回されていた印...