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手遊びに馴染めない父の話

「今度、地域の児童館に行かない?」妻にそう言われた瞬間、頭に浮かんだのは、子どもの頃に通った公民館だった。薄暗く、床は冷たく、どこか埃っぽい場所。児童館とは、そういうものだと思い込んでいた。ところが、現実は容赦なく私の記憶を更新してくる。辿...
育児記録

家庭はダイエットに向いていない

健康診断の結果を突きつけられ、ついにダイエットとやらを決意した。思えば昔は、テレビで「バナナがいい」と言えば翌朝にはスーパーの棚が空になり、「〇〇がいい」と聞けば、皆が一斉に飛びついた。そんな、どこか長閑なブームに、世間が振り回されていた印...
育児記録

親の最初の仕事

名前をどう決めるか。世間には流行りがあるようで、今の時代を象徴するような華やかな漢字が並んでいる。試しにネットのランキングとやらを覗いてみたが、なるほど、これがいわゆる「令和」か、と思う。きっと、学校で目立つ子たちは、こんな名前をしているの...
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忘れられた砂場セット

公園の砂場には、不思議な現象がある。いつ行っても、必ずといっていいほど「忘れ物」があるのだ。バケツ、スコップ、正体不明の型抜き……。あれは一体、誰が置いていったものなのか。そして、持ち主のいないそれを、そっと使うのはやはりマナー違反なのだろ...
育児記録

赤いピンと緑のピン

これほど公園へ通うようになるとは、独身の頃には想像もしていなかった。今日も息子を連れ、近所の公園を目指す。ふと、スマートフォンで地図を開く。画面には、かつて「お気に入り」として登録した赤いピンが点在している。地元で人気のラーメン屋。路地裏の...
育児記録

おじいちゃんの家か、おばあちゃんの家か

「おじいちゃんの家」か、それとも「おばあちゃんの家」か。実家へ向かう車中、そんな定義のゆらぎに、つい考え込んでしまう。父という家長への敬意か、それとも家を守ってきた母への親しみか。そんな理屈を頭の中で並べていると、助手席の妻が、スマホから目...
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最強の足握力

先日、息子をベビーチェアから抱っこして、手洗いに連れていこうとしたその瞬間。彼の体がスッとイスから離れかけた――と思ったら、妙な重みを感じた。見ると、足の指先がイスの縁をがっちりとホールドしている。吸盤でもついているのかと思うほどの粘着力。...
育児記録

サイレンの温度

散歩の途中、遠くでサイレンが鳴る。 「ピーポー、きた!」 弾んだ声で指をさす息子。視線の先には、赤いランプを光らせて走る救急車。大人の私にとって、その音は日常の裂け目のようなものだ。誰かが怪我をしたのか、急病か。その切実さを知っているから、...
育児記録

健康診断、異常あり

健康診断の結果が返ってきた。紙の真ん中あたりに、少し主張の強い文字で「要検査」と書いてある。薄々わかってはいた。数字の並びを見なくても、だいたい予想はついていた。それでも、正式に文字として突きつけられると、思っていたより効く。健康ほど大きな...
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三分の冬

今年一番の寒波がやってくる。テレビの中では、気象予報士が心なしかテンション高めに「記録的な」とか「数年に一度の」なんて言葉を並べている。なぜあんなに嬉しそうに見えるんだろう。……そう思うのは、私だけだろうか。とにかく、本格的な冬がやってきた...