呼び名の話

町に出ると、

「パパ」「ママ」という声をよく耳にする。

あれは名前なのか、役割なのか、

いまだによく分からない。

自分のことを、

息子に何と呼ばせるか。

多くの人は、それほど悩まないのだろうか。

私は少し考えた。

お父さん。

お母さん。

どちらかといえば、

真面目で硬い家で育ったせいか、

その呼び方が自然に思えた。

妻と話して、

「お父さん」「お母さん」でいこう、

と決めた。

ところが、

一向に呼んでくれない。

視線は合う。

用事もある。

でも名前は出てこない。

試しに、

「パパって呼んでみる?」

と言ってみた。

すると、

一発だった。

迷いのない「パパ」。

このままパパでいくか。

少し心が揺れた。

楽だし、早い。

世の中の流れにも合っている。

それでも、

どこかで引っかかった。

私はパパだが、

同時に、

お父さんでもある。

結局、

父ちゃん、に落ち着いた。

今どき、

少数派かもしれない。

でも、

呼ばれるたびに、

少し照れくさくて、

少し嬉しい。

……と、

ここまで書いておいて、

ブログでは「昭和パパ」を名乗っている。

父ちゃんと呼ばれながら、

パパに憧れている。