健康診断の結果が返ってきた。
紙の真ん中あたりに、少し主張の強い文字で「要検査」と書いてある。
薄々わかってはいた。
数字の並びを見なくても、だいたい予想はついていた。
それでも、正式に文字として突きつけられると、思っていたより効く。
健康ほど大きな保険はない、とよく言う。
たしかにその通りだと思う。
最近は、健康でいることそのものに、責任のようなものがくっついてきた気がする。
独身の頃なら、少しくらい無理をしても自己責任で済んだ。
唐揚げにビール。
夜中のポテチとビール。
特に後ろめたさもなく、欲望のままに過ごしたツケが、この「要検査」なのだろう。
腹は出てきた。
肩は上がりにくい。
目も、なんとなくかすむ。
加齢、という言葉が急に現実味を帯びてくる。
ただ、悲しいばかりでもない。
きちんと年を取っていることに、どこか面白みも感じているのだ。
かつて「肩が痛い」と嘆いていた母や、
「新聞の字が読めん」と呟いていた父。
あの時の二人の姿が、今の自分と重なる。
「ああ、これのことだったのか」と思うと、なんだか可笑しくて、笑いがこみ上げてくる。
年を取るのも、そう悪くない。
老いていく姿を間近で見せることも、親の仕事のひとつなのかもしれない。
そのためにはまず、それなりに健康でいることが前提だ。
とりあえず、今日から。
まずはビールを一本減らして、少しだけ走ってみようと思う。
健康でいる理由は、もう十分だ。


