2026-01

育児記録

サイレンの温度

散歩の途中、遠くでサイレンが鳴る。 「ピーポー、きた!」 弾んだ声で指をさす息子。視線の先には、赤いランプを光らせて走る救急車。大人の私にとって、その音は日常の裂け目のようなものだ。誰かが怪我をしたのか、急病か。その切実さを知っているから、...
育児記録

健康診断、異常あり

健康診断の結果が返ってきた。紙の真ん中あたりに、少し主張の強い文字で「要検査」と書いてある。薄々わかってはいた。数字の並びを見なくても、だいたい予想はついていた。それでも、正式に文字として突きつけられると、思っていたより効く。健康ほど大きな...
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三分の冬

今年一番の寒波がやってくる。テレビの中では、気象予報士が心なしかテンション高めに「記録的な」とか「数年に一度の」なんて言葉を並べている。なぜあんなに嬉しそうに見えるんだろう。……そう思うのは、私だけだろうか。とにかく、本格的な冬がやってきた...
育児記録

想像の、その先で

妻のお腹が、いよいよ大きくなってきた。横に座っているだけでも、その重みがこちらまで伝わってくるようだ。男性である私には、その大変さを本当の意味で理解することはできない。たぶん、私が想像している何倍もしんどいのだろう。とにかくお腹が空くらしい...
育児記録

ミルクの場所

もう、ミルクは卒業している。夜中に起きて飲ませることもないし、哺乳瓶を洗うこともなくなった。それでも、息子にとってスギ薬局は「ミルクの場所」らしい。オムツや日用品を買いに行くだけなのに、看板を見つけると、指をさして「ミルク」と教えてくる。行...
育児記録

今日も胸元で

わたしのパーカーの紐は、いつも湿っている。決して、わたしがだらしなく濡らしているわけではない。犯人は、もちろん息子だ。抱っこをすると、ちょうど紐が目の前にぶら下がる。それをつかんで、口に入れて、噛んで、なめる。どうやら、それが彼なりの楽しみ...
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泣くのも、悪くない

「テレビはおしまいね」と妻が言った。その瞬間、息子が泣き出した。うえーん、と全力。顔はくしゃくしゃ、目から鼻まで大洪水。思い通りにいかなかっただけで、あんなに泣けるなんてすごい。大人になると、そういう理由じゃもう泣けなくなる。いや、泣かない...
育児記録

妻のメガネと、息子

妻のメガネが、狙われている。一日の終わり、妻がコンタクトを外した瞬間から、戦いは始まる。相手は息子だ。目的は明確。メガネ。小さな手が、ためらいなく伸びてくる。妻はそれを避け、角度を変え、体をひねって応戦する。私は少し離れたところで、その攻防...
育児記録

今日は今日なりに

「今度、友達とランチに行ってくるね」その一言は、つまり半日ワンオペを意味する。当日になって、その事実をあらためて噛みしめた。外は雨。しかも、なかなかの本降り。やんちゃ盛りの息子と穏やかに過ごすには、公園がいちばんいい。体力も使うし、気分も発...
育児記録

チョッキン、チョッキン

チョッキン、チョッキン。この呪文が聞こえはじめると、部屋の秩序は静かに崩れていく。息子がハサミを覚えた。使い方を教えた覚えは、たぶんある。危なくないように、ゆっくり、一緒に。そのはずだった。気づけば、広告。お絵かき帳。封筒。紙であれば、だい...