車に乗るだけなのに

チャイルドシートは、必要なものだ。

子どもの安全のために。

それは、頭では分かっている。

乗せて、

ベルトをするだけ。

最初は、そんなふうに思っていた。

現実は、もう少し複雑だった。

息子は、すぐに察する。

自由が奪われる、その瞬間を。

背中を反らす。

手すりをつかむ。

小さな体で、全力で踏ん張る。

想像以上の力だ。

こちらは、

片手で体を押さえ、

もう片方でベルトを探す。

足は暴れる。

金具は逃げる。

焦ると、なぜか

ロックはうまくはまらない。

一瞬の静けさ。

そして、

パチ。

音だけは、やけに軽い。

車に乗るだけで、ひと仕事。

安全は、

そんなに簡単には

手に入らないらしい。