わが家の神家電③

わが家の冷蔵庫は、やたらと冷凍室が広い。

購入するとき、私は容量より先にそこを見た。

野菜室でもなく、デザインでもなく、冷凍室。

ここが広ければ、だいたい安心できる。

根拠はないが、経験はある。

賞味期限が近づけば、とりあえず凍らせる。

食パン、肉、作り置き。

一度眠らせれば、時間は止まる。

少なくとも、気持ちの上では。

凍っている限り、それは「まだいける側」だ。

賞味期限は、参考資料になる。

いまのところ腹を壊したことはない。

この事実が、私の自信を静かに支えている。

だが、冷凍は万能ではない。

豆腐は、気づけば高野豆腐の遠い親戚になる。

こんにゃくは、歯ごたえを置いていく。

きゅうりは、もうシャキッとは言わない。

基本はいける。

だが、いけないものもある。

その境界線に少し詳しくなった自分がいる。

これもまた、父としての経験値なのだろう。

冷凍室は、過去の夕食と未来の安心が詰まった倉庫だ。

ぎゅうぎゅうに詰まっていると、なぜか落ち着く。

今日もまた、期限の迫った何かが静かに眠りについた。

私はその扉を閉め、

小さくうなずく。

時間は止まらない。

だが、少しだけ猶予はつくれる。

それが、わが家の冷凍室である。