全自動洗濯機が、黙って受け止めてくれる母だとしたら、食洗機は頼りになる兄貴である。
無口だが、やることはやる。
「置いとけ。やっとく。」
そんな声が聞こえる気がする。
油? 問題ない。
食べ残し? まあ任せとけ。
細かいの? まとめて来い。
アニキ、と呼びたくなる瞬間がある。
子育て世代の台所は、とにかく細かい。
哺乳瓶は分解すると、びん、本体、輪っか、飲み口とやたらパーツが多い。
子ども用の皿は、吸盤がついていたり妙にくぼんでいたりして、なかなか手ごわい。
気づけばシンクは、細かい部品の展示会のようになる。
それを兄貴は、黙って飲み込む。
音を立てて、まとめて片をつける。
時間をかければ、手洗いでもできる。
だが、あの量を毎晩となると話は別だ。
兄貴なしでこの時期を乗り越えられたかと聞かれると、少し自信がない。
今日も最後は「頼んだ」と言って扉を閉める。
返事はない。
だが、数時間後にはきっちり仕上がっている。
やはり、兄貴である。

