ニューボーンフォトというものがあるらしい。
いまは専用のサービスも多く、それなりに当たり前の行事のようだ。
わが家では、妻が自宅でそれらしきことを始めた。
小さな体を布で巻く。
いわゆる「巻き巻き」だ。
なかなか思う形にならない。
本人は迷惑そうな顔をしているが、抵抗するにはまだ力が足りない。
頭に小さなクラウンをのせられ、淡い光の中で撮影が始まる。
その様子を、上の子が少し離れて見ている。
状況を完全には理解していないが、ただならぬことは感じている顔だ。
次は、裸でうつ伏せらしい。
新生児は顔全体で「やめてくれ」と訴えているが、現場は粛々と進む。
私は少し離れたところで見守る係だ。
助け舟を出す勇気も、止める正義感も、どちらも中途半端である。
無事に撮影は終わった。
出来上がった写真は、驚くほど愛らしい。
妻も私も、しばらく黙って見入る。
かまってもらえなかった兄。
されるがままの弟。
この世に出て最初の仕事は、案外ハードらしい。
それでも写真の中の彼は、きちんと主役の顔をしている。
生きるというのは、こうして少しずつ役割が増えていくことなのかもしれない。
私はその証拠写真を、そっと保存した。

