「did it」

日常的に英語のアニメを見せていたら、

息子が、いつのまにか英語を口にするようになった。

最近の流行語は、

「did it」。

お茶をぶちまけて「did it」。

おもちゃ箱をひっくり返して「did it」。

この前は、ソファの上に登って降りられなくなり、

助けたあとにも、誇らしげに「did it」。

失敗も成功も、どうやら同じ箱に入っている。

けれど、その「やったぞ」という響きが、

なぜか憎めない。

注意しようと、気持ちを整える。

けれど、こちらを見る顔があまりに自信満々で、

言葉が一拍、遅れる。

妻は横で、

「ちゃんと英語になってるのがすごいね」

と笑った。

確かに、発音はそれっぽい。

意味はさておき、音だけは、もう自分のものだ。

今日も、おもちゃを片づけ終えて、

胸を張って「did it」。

その声が思いのほか晴れやかで、

思わず、小さく拍手してしまった。

いつか、本当に自然な場面で

その言葉を使う日が来るのかもしれない。

そう考えると、

今の「did it」も、

悪くない気がしている。